第04回 物語設計書をつくる
物語設計書をつくる
公募ガイド社童話作品集は今回で第三弾。(原稿用紙五枚、テーマ自由)を応募、一回の添削を受けて毎年十二月に発行されます。作品集のタイトルは前回の「群星」前編と後編がウェブ配信されているので作品を読むことができます。
残念ながら今回は「千思」の配信はありません。両方とも六十七編もの作品が寄せられたそうですが「猫」を主人公にした作品が「群星」には三編、「千思」には五編もありました。題材が被っています。
猫好きの人が猫を描きたい気持ちはよくわかります。が、コンクールの応募作品となると極めて「損」だと思います。
誰も書かないであろうモチーフを選ぶことが作品の創造性につながるからです。
私も猫の話を書こうとして巧くいかなかったことがありました。猫の瞳は外の明るさによって太くなったり、三日月のように細くなる特質があり、むかしの人は猫の瞳で朝の時間を推測していたこともあったようです。
その猫の瞳と時間をからめてユニークな童話を目指したのですが出来が今一で頓挫したままになっていました。
これは、物語設計書が不十分だったからです。童話はアイデアさえ思いつけば書けるというわけではなく、しっかりとしたプロット(構成)が大切なわけです。
物語設計書とはストーリーのために起承転結の他、タイトル、人物、季節、場所、テーマを細かく書いておくメモのこと。人に見せるものではなく、自分がわかればいいもので料理のレシピメモのようなものです。
立花えりか先生は、この設計書を決めなければ自分は書けないと断言しておられました。さて、「千思」に収めた「ここに捨ててはダメ」は何年か前のショートストーリーを元に何度も書き直して、ようやく完成させたものでした。引っ越しの時に見た「貼り紙」が記憶にあったので、それをモチーフにしてサラリーマンの視点で膨らませたものです。
童話といっても子供が主人公でなければならない決まりはありません。但し、コンクールではリスクがある場合があります。
(物語設計書)
タイトル 「ここに捨ててはだめ!」
主人公 前回と同じ高田くん(会社員)
場所 夜の空き地。季節は秋。高田くんは捨ててはいけない場所にゴミを捨てていた。長年良いことがなかった住み慣れた町を出ていく高田くんは貼り紙を見て他の集積所を探し回るが見つからない。深夜にゴミ袋を持って高田くんは惨めな気持ちに陥る。
テーマ なぜ、その場所に捨ててはいけなかったかに気づくまでを五枚丁度に。
ラスト 高田くんが〇〇〇〇〇〇に癒される。物語前半に闇、後半に光を当てたい。
浜尾
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